読書のすすめ1(2020-4-22)




 新型コロナウイルス拡散の影響が強く、心配なニュースが続きますが、皆さん元気ですか。
 家にこもり(あるいは戸外で)本を読むチャンスですので、おすすめの本を紹介します。まず、最初に紹介するのは、和田晴吾さんの3部作です。



和田晴吾2014『古墳時代の葬制と他界観』吉川弘文館
和田晴吾2015『古墳時代の生産と流通』吉川弘文館
和田晴吾2018『古墳時代の王権と集団関係』吉川弘文館

 卒業論文、修士論文をもとにした論文から講演記録まで、幅広く集められているばかりでなく、3部に体系化され、和田晴吾さんが古墳時代をどのようにとらえたかが本の編集の仕方でもよくわかります。
 立命館大学のゼミ学生も協力して、全国の古墳を集成し、副葬品の踏み合わせから精緻に組まれた編年は、現在の古墳編年の礎になっています。また、家形石棺の形態から変遷をとらえた論文は、型式学の方法を見事に活かして整然と説明されています。そして、何といっても『古墳時代の葬制と他界観』では、中国の墓制までを視野に入れ、資料に裏打ちされた事実を積み上げながら、他界観という思想的側面を浮き彫りにされており、和田晴吾さんの研究の独自性が強く打ち出されていると思います。
 弥生・古墳時代を勉強する皆さんにとって、考古資料から歴史を復元する方法を学び、古墳時代を様々な角度から理解することができる優れた書籍です。是非手に取って読んでみてください。次回は、都出比呂志さんの本を紹介します。

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