弥生時代中期の併行関係検討会(2023-8-30)

 突然ですが、弥生時代中期の土器編年と広域にわたる併行関係を解明しようと、会をたちあげ、動き出しました。弥生時代の広域に流通する交易品や様々な交流の様相が明らかになりつつある現在、広域で使える共通した物差しを作ろうというのが、本検討会の狙いです。

これは初めての試みではなく、これまでも何度も検討がなされてきました。従来は、隣接する小地域同士を繋いで併行関係を検討したり、広域に編年をつなげる場合は、近畿地方や東海地方といった、広い範囲を対象に一つの編年で表現しようとしてきました。そのため、小地域間をつなぐと、細かな編年を用ることができるが、広域に広げにくいという特徴がありました。また、広い範囲を対象に編年を組むと、細かな目盛りを作りにくいという特徴がありました。

そこで、それらの課題を解決するため、本研究会では、ハブ地域を設定し、ハブ地域間の併行関係を明らかにすることにより、細かな目盛りを活かしつつ、広域に編年を組み立てるという戦略をとることにしました。広域の併行関係が明らかになれば、ハブ地域とその周辺地域で併行関係を明確にすることにより、どの地域でも共通した時間の目盛りを使用することができるからです。

また、基本的に同時性の高い一括で出土した資料を用い、他地域から搬入した土器の時期を明確にして、併行関係を探る方法を第1とします。もちろん、搬入土器が少ない地域や時期がありますので、土器の形態や文様といった属性の類似性による比較なども必要になる場合があるでしょう。その場合は、柔軟に検討することが必要です。しかし、できる限り統一した基準を、編年や併行関係を検討する皆さんで共有し、併行関係を探ることにより、信頼性の高い目盛りが作れると考えられます。

この会では、石川日出志さん(明治大学)、吉田広さん(愛媛大学)、若林邦彦さん(同志社大学)と長友朋子(立命館大学)が世話人となり、10名ほどでの方法論の検討会、各地の編年研究を担う方たちとの準備会という2回の事前準備をふまえ、先週8月26日に第1回の研究会をオンラインで実施しました。

東北から九州地域まで様々な地域から、多忙な研究者が一堂に集まれるのは、オンラインならでは。20代の若手研究者から大御所の研究者の方まで、50名もの方に参加いただき感謝いたします。

なんといっても、河合忍さんの備前、備中南部の編年研究が素晴らしかった!多数の最新資料を追加して補強された編年案は、聞きごたえのあるものでした。なお、蛇足ですが、河合2004年の中期Ⅱ-1は、今回の検討会の中期Ⅱー1とⅡー2に細分され、2004中期Ⅱー2→今回中期Ⅱー3へ変更されています。

次回のオンラインは中部高地に関する発表予定で調整中です。楽しみにしてください。


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