立命館大学考古学談話会(2023-7-3)

 


 蒸し暑くなってきましたが、皆さん元気で頑張っていますか。

 さて、第24回立命館大学考古学談話会が先日、7月1日土曜日に開催されました。今年は、中村豊さん(徳島大学)が「縄文時代から弥生時代へ―中四国地域を中心に―」、前田仁暉さん(京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程)が「曲物底板の年輪年代測定による古代遺跡の数値年代検討―平城宮・京跡を中心に―」、永惠裕和さん兵庫県立考古博物館)が「失われた台場、放出される砲台」と題して、最新の研究成果を報告していただきました。

 中村さんは、呪術具、生業、集落という3つの視点から、縄文/弥生時代移行期の変化を自ら発掘調査した成果や、長年地質学の方と追究されてきた片岩の産地調査成果などをふまえつつ論じられました。イネと雑穀が検出される突帯文期の小規模で複数の集落が、その後水田が定着する時期になると大規模になるという変化を、非常に具体的に示されました。それが呪術具の変化と密接に関連する点も大変興味深かったです。

 前田さんは、雑誌『日本考古学』の最新号に掲載された論文の成果を発表されました。曲げ物の底板の年輪から年代を測定するという方法で、60の資料を計測した結果、土器編年と整合的であることが確認されました。古代において、日常的に使用され比較的出土数の多い曲げ物の底板が資料になるため、各地での年代決定においても活用でき、汎用性が高いという点でも画期的だと思います。

 兵庫県の砲台と台場を丹念に調査し、現地の石積みの状況、文献の記録、絵図など可能な限りの資料を網羅して研究された永惠さんの研究発表内容も、大変独自性が高く優れたものだと思われます。・・この分野は、岡寺先生にお任せいたします。

 以上のような非常に分厚い研究内容を、短時間にも関わらず学部生にもその意義が分かるように話され、大変興味深く聞かせていただきました。卒業生の元気な顔を見ることもでき、談話会終了後は、たわいもない話をしたり・・・。韓国料理店で親睦を深め、とても懐かしく楽しい時間を過ごすことができました。皆さん、これからも元気で頑張ってくださいね。

 研究室紀要『立命館大学考古学研究報告ーDIGGING UP-』1号を刊行しましたが、2号は、長年考古学研究室の発展に尽力された矢野先生に感謝の気持ちを込めて、退職記念号にしたいと思っています。もしよければ、皆さんの論文をお寄せください。紀要は、できれば立命館大学のリポジトリで公開できるようにし、誰でも読めるようにしたいと思いますので、卒論、修論を論文にしていない、新しいアイデアがある、未報告の資料を報告したいなど、是非!

 談話会を準備してくれた、院生の皆さん、お疲れ様でした。

 

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