今年はコロナ禍のため、1回30人の見学者を5回に分けて現地説明会を開催しました。予約制でしたが、150名の定員が一杯になり、盛況でした。毎年来られるという地元の方、考古学ファンの方、専門職の方もおられ、調査も8年目になり久津川車塚古墳の現地説明会も定着してきた感じがします。城陽市の広報の努力もあり、地域の方々にもタケノコ掘りやカブトムシをとりにくる山が、実は久津川車塚古墳という有名な史跡だったと認識されつつあります。
前方部主軸トレンチでは、上段斜面、中段テラス、中段斜面、下段テラス、現段斜面の肩付近までの、長いトレンチを設定しました。残念ながら、上段斜面と中段テラス・斜面は大きく削平されていましたが、中段斜面裾付近の葺石が葺かれた状態で残り、下段テラスの埴輪列もしっかり検出されました。
前方部南東隅付近で主軸に併行して設定したトレンチでは、上段斜面の裾付近から中段斜面までを検出し、中段テラスの埴輪列が良好な状態で見つかりました。これらのトレンチにより、中段と下段のテラスの幅が明確になり、後円部同様に下段テラスの方が中段テラスよりも長いことがわかりました。
西くびれ部では、中段テラスの埴輪列を検出し、それが屈曲することから、前方部と後円部の境となるくびれの点をおさえることができました。上段斜面と中段テラス、中段斜面を検出し、上段斜面には基底石を含む葺石が、中段テラスでは埴輪列が見つかり、礫を多く含む土で平坦にしている様子がわかりました。東くびれ部の埴輪列が、2段目突帯まで埋めた状態で立てられたこともわかり、東西のくびれ部では少し様相が異なります。上段斜面から中段テラスの範囲で蓋形埴輪をはじめ靫形埴輪など形象埴輪片を検出したことも特筆されます。
現地説明会最後は、初期参加者以来のOBOGの見学回で、懐かしく思い出深い顔ぶれが集まりました。遺構や土層を見ると早速議論が始まり…楽しいひとときでした。現場、仕事、プライベートで2週間休みなしでしたので、さすがに疲れて夜の会は失礼しましたが、皆元気そうで何よりでした。就職(埋蔵文化財)が決まった人、結婚した人、それぞれの行政で活躍し頑張って研究している様子が伝わりました。抜き刷りや研究報告の冊子もありがとう。
今年の夏、学生を力強く引っ張ってくれたK君、遺物係を担当し粘り強く頑張っているI君、マイペースに努力しているIさん、いつも笑顔のK君、Uさん、2つのゼミを掛け持ちの状態で頑張ってくれているS君、現地説明会お疲れ様でした。ありがとう。
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